出力制御(出力抑制)について
電力の需要と供給の不均衡により大規模停電などを防ぐため、電力会社から発電設備に対して
発電を停止または減らすように働きかけることを出力制御(出力抑制)といいます。

そもそも出力制御とは?

電力会社が各発電施設に対し、電力の出力を停止または減らすように指示して総発電容量を抑制することです。
電力会社には、安定した電力を供給し、需要とのバランスをとりながら大規模停電などを引き起こさないようにする責務があります。
そのため、需要に対して供給量が過剰にならないよう、発電設備の発電量を抑えるようにしたのです。
勘違いされていることも多いようですが、この出力制御がかかるのは太陽光発電を始めとする再生可能エネルギーだけではありません。
順番的には

1、揚水運転(発電のために使う水を汲み上げ発電すること)
   ↓
2、火力発電
   ↓
3、バイオマス発電
   ↓
4、太陽光・風力発電
   ↓
5、原子力・水力・地熱発電
となっており、上から順に調整を行い、調整が効かない場合は次の発電設備へ、という流れになります。

3つのルール

出力制御には、電力会社、電力会社との接続契約の時期、発電出力によって、3つのルールがあります。
・旧ルール:
500kW以上の発電設備に対し、年間30日を上限に、無補償で出力を抑制するよう要請できる
(2015/1/25以前に接続申込をしている案件が対象)
・指定ルール:
国から指定を受けた電力会社が、上限時間なく無補償で出力を抑制するよう要請できる
(指定を受けている電力会社:北海道電力、東北電力、北陸電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力)
・新ルール:
年間360時間を上限に、無補償で出力を抑制するよう要請できる

※1 平成27年3月31日までの接続申込み案件は、出力制御の対象外。
※2 平成27年1月25日までの接続申込み案件は、30日を上限とした日単位の出力制御(30日ルール)の対象。ただし、電力会社の系統の状況によっては、1月25日以前の接続申込み案件であっても、360時間ルールの対象となる場合もあるので、詳しくは各電力会社にお問い合わせください。
※3 平成27年1月25日までの接続申込み案件は、原則出力制御の対象外。ただし、電力会社の系統の状況によっては、1月25日以前の接続申込み案件であっても、360時間ルールの対象となる場合もあるので、詳しくは各電力会社にお問い合わせください。
※4 北海道電力、東北電力、九州電力については、既存の接続申込量で接続可能量を超過しており、360時間ルールの対象案件が想定されない。
※5 いつ時点の接続申込み案件から「接続可能量超過後に接続申込みをしたと認められる案件」となるかについては、各電力会社にお問い合わせください。

出力制御の方法

太陽光発電のPCS出力を制御する方法は大きく分けて3つあります。

・出力制御対応のPCSに切り替え
電力会社より案内されているように、既存のPCSを出力制御対応のものに切り替えることで、出力制御がかかった際には、電力会社の主導でPCSに抑制をかけることができます
・遠隔でPCSを制御できるシステムの導入
既存のPCSは変更しませんが、遠隔でPCSの運転/停止を制御できる装置を導入します。電力会社より抑制の指示があった際に、発電事業者主導でPCSを操作して対応できます。
・電気主任技術者による応動
高圧の設備の場合、電気主任技術者に依頼して対応する方法もあります。ただし、いくつかの発電所を掛け持ちしている主任技術者の場合、対応に追われて抑制の開始時間に間に合わなくなる、などのリスクもあります。また、停止時と運転時の2回の応動となるので、契約内容によっては費用がその分かかります。

九州電力の場合

九州は再生可能エネルギーの適地が多く、特に日照条件が良いことから、太陽光の 導入が他地域に比べて進んでいます。このため、九州電力では2016年9月より、DMやHPなどで太陽光発電事業者に向けてPCSを出力制御機能付きのものに切り替えるよう周知案内を始めました。
2018年10月には、全国で初めての出力制御が行われ、最大117.6万kW(指令値)の電力が抑制されました。
今もなお出力制御の可能性はあり、最近では2019年1月3日に最大35万kWの発電量を制御しました。

九州電力では、出力制御の通知の方法として、前日の16時ごろに対象の発電設備の事業者(メンテナンス代行業者も含む、電力会社への連絡先登録者)にメールで通知→当日9時~16時の間に抑制がかかる、という流れです。開始時、解除時に通知はありません。
出力制御の指示があったにも関わらず対応しなかった発電所に対しては、後日、対応を認められなかった旨の告知があります。

また、九州電力では、サイト内に「再生可能エネルギー出力制御見通し」というページを設け、3日先までの出力制御の予報を公表しています。
「再生可能エネルギー出力制御見通し」のページ

対応しないとどうなる?

出力制御の指示があったにも関わらず対応しなかった発電所に対しては、何かペナルティがあるのでしょうか。
抑制を実施しなくても特にペナルティがないとなると、実施している発電所に対して不公平となります。
ですので各電力会社は、出力制御に数回対応しなかった場合、接続契約の解除の可能性がある、と公表しています。

九電出力制御しないと

九州電力発表 出力制御に関するQ&Aより

発電所がストップして売電できなくなることを考えると、年に数回の出力制御にはきちんと対応しておいた方がいいですね。

今後はどうなる?

九州は全国的に見ても、日射量が多い地域なので、他地域に比べ発電設備の容量が多く出力制御がかかりやすかった、というのもありますが、今回の九州電力の出力制御を受け、経済産業省が制御量の低減に向けて「連系線の活用(他地域への送電の拡大)」「オンライン制御の推進」などの議論を進めています。連系線の送電容量が拡大されると出力制御量を7割近く低減できるという試算もあり、また、オンライン制御が進めば必要な時間のみピンポイントで制御することが可能となるなどのメリットがあります。
できるだけ出力制御をかけずに済むよう国の主導で施策が進むことを期待します。

お問い合わせはこちらから

Copyright. Takashima Co,.Ltd. 2016 / All rights reserved.
ページトップへ